過去と現代が共存している魅力的な街、ソウル。建ち並ぶ高層ビル群の間に古宮が溶け込み、独特な雰囲気を放っています。多事多難な歴史と共にあった徳寿宮(トクスグン)でかつての王宮を旅してみてください。
東洋と西洋の建築様式が調和
徳寿宮
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大韓帝国(1897~1910年)の王宮として知られる徳寿宮は、もともと王族の個人邸宅でした。文禄・慶長の役の当時、朝鮮王朝第14代王の宣祖(ソンジョ)が漢陽(ハニャン、現在のソウル)に戻り、臨時の住まいとして使用したことから王宮となりました。徳寿宮が王宮の形式を整えたのは1897年。ロシア公使館に避難していた第26代王の高宗(コジョン)がここに住まいを移し、大韓帝国の成立を宣布しました。
中和殿(チュンファジョン)、咸寧殿(ハムニョンジョン)、静観軒(チョンガンホン)、石造殿(ソクジョジョン)は高宗の時代に建てられました。大韓帝国の時代に西洋式の建物と共に建てられたことが特徴。伝統の韓屋と近代的な建築物が共存しており、朝鮮古宮の中でも最も特徴的な風景を見られる場所です。
広い古宮内の巡り方!
おすすめ観覧ルート
大漢門 ⇢ 中和門 ⇢ 中和殿 ⇢ 国立現代美術館 ⇢ 石造殿 ⇢ 浚眀堂と卽阼堂 ⇢ 昔御堂 ⇢ 静観軒 ⇢ 咸寧殿 ⇢ 光明門
・ 予想所要時間:1時間30分
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絶対に見る価値あり!
徳寿宮内の主なスポット
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2大漢門徳寿宮の正門である大漢門(テハンムン)。もともとの正門は古宮の南側にある仁化門(イナムン)でしたが、都心が古宮の東側に作られたことから東門であった大安門(テアンムン)が正門になりました。1904年の徳寿宮の大火災で焼失した一部を修理し、大漢門に名称が変わりました。
- 出典 shutterstock.com中和殿王と臣下が午前会議をしていた正殿。他の古宮の正殿と違って、名前に「政」が含まれていないのは、中和殿が朝鮮ではなく、大韓帝国の正殿であることを示しています。外壁は皇帝を象徴する黄金色に彩られています。
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d08浚眀堂高宗が外国使節を接見する浚眀堂(チュンミョンダン)。 咸寧殿が建てられる以前は高宗の寝殿として使用されました。卽阼堂(チュクジョダン)と廊下で繋がっており、形態や色使い、構造まで対称的です。
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d08卽阼堂徳寿宮の以前の正殿。中和殿が建てられてからは高宗が日常的な政務を行う便殿(ピョンジョン)として使用されました。浚眀堂と建てられた時期や形態は異なりますが、1905年に修築されてからは対称を成しています。
- 出典 shutterstock.com昔御堂徳寿宮で唯一残っている二階建ての建物である昔御堂(ソゴダン)。民家として使用されていたため、他の建物と違って「丹青(タンチョン、韓国の伝統的な模様)」が施されていません。春になると、庭にある樹齢450年のアンズの木が白い花を咲かせます。
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d07静観軒朝鮮時代の王の肖像画である「御真(オジン)」を保管する場所。東西洋の建築様式を取り入れた独特な姿をしています。屋根は入母屋造で東洋風、ひさしと手すりは西洋風になっています。
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d04咸寧殿高宗の寝殿で、1919年に崩御するまで高宗が暮らしていました。建物の裏側には後苑(フウォン)である花階(ファゲ、庭のこと)があります。松の木がぎっしりと植えられ、一年中青々とした美しい姿を見せてくれます。
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d04光明門咸寧殿の正門。日本の植民地時代、強制的に中和門(チュンファムン)の西南に移されました。損壊した徳寿宮を本来の姿に戻す努力が続けられ、2018年12月に80年ぶりに元の位置へ戻りました。
風情ある宮殿を背景に
徳寿宮のおすすめフォトスポット
- 出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/2#d11石造殿韓国初の西洋式建築物。石造の柱を背景にするとヨーロッパの国に来たような雰囲気を感じられます。少し離れたところから噴水と建物を一直線上に撮影するアングルもおすすめ。
- 出典 facebook.com/deoksugungkorea/photos/3541435199299209徳寿宮の桜春になると徳寿宮内のあちこちに桜が咲き乱れ、古宮を彩ります。大漢門のすぐ後ろから桜並木が続き、咸寧殿にはレンギョウが咲き誇ります。石造殿前の立派な枝垂れ桜も有名。
- 出典 shutterstock.com徳寿宮の蓮池大漢門に入ってすぐ右側に歩いていくと小さな蓮池があります。樹木に囲まれた緑豊かな蓮池には人工島があり、初夏から秋にかけてガガブタの可愛らしい花が池を埋め尽くします。
- 出典 shutterstock.com惟賢門惟賢門(ユヒョンムン)は静観軒と卽阼堂の間にある石門。レンガを積み上げたどっしりとした石垣は威厳のある背景です。「善良な人だけが通る門」という意味で、この門を通ると頭が良くなるという言い伝えもあるので、ぜひ試してみて。
- 出典 shutterstock.com徳寿宮石垣道徳寿宮の石垣に沿って作られた散歩道。おしゃれな石垣と街路樹がロマンチックな雰囲気を作り出し、デートスポットとしても人気。春には桜、秋には紅葉を堪能できます。
徳寿宮で過ごす特別な時間
徳寿宮を100%満喫
大漢門守門将交代式 - 過去へのタイムトラベル
かつての守門将の交代儀式を再現した伝統文化行事。正門である大漢門から始まります。決まった時間になると吹打隊(チィタデ)の演奏に合わせて伝統衣装に身を包み、武器を持った守門軍が行進します。実際の朝鮮時代の資料を元に当時の姿を再現。交代式を終えた守門軍は崇礼門(スンネムン)まで巡邏(見回り)に行きます。
基本情報
・ 運営時間:11:00、14:00
・ 位置:大漢門
知っておくと便利!
大韓帝国の正門としての威厳を再現しようと大漢門の月台(ウォルデ)再現工事が行われています。工事期間中、守門将交代式は火曜から日曜までの毎日2回(11:00、14:00)に縮小されます。
出典 deoksugung.go.kr/c/event/1
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徳寿宮夜間観覧 - 1年を通して見学できる
月の光のもと古宮に灯りが点る情緒ある姿を見られる古宮夜間観覧。シーズンになれば予約開始と同時に完売するほどの人気。徳寿宮だけは一年365日夜も見学可能で、いつでも旅行者を迎え入れてくれます。予約も必要なく通常の入場券で利用でき、いつでも夜の徳寿宮を見学できます。
基本情報
・ 運営時間:09:00 - 21:00(20:00 最終入場)
・ 入場料:1,000ウォン
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石造殿 - かつての皇室の生活を再現
徳寿宮内にある近代的な石造の建物。現在は大韓帝国歴史館として使用され、内部見学もOK。過去の資料を元に居室、寝室、食堂、接見室など当時の姿をそのまま復元しています。地下はいつでも入場できますが、1階と2階の見学には現地予約が必要です。
基本情報
・ 英語解説:11:50、14:50(1日2回)
・ 申請場所:石造殿 大韓帝国歴史館 案内デスク
・ 申請時、身分証提示(パスポート、外国人登録証)
・1回あたり最大20名、先着順、現地予約
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出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/3
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重明殿 - 大韓帝国の歴史を学ぶ場
石造殿と共に建てられた西洋式の皇室図書館。1904年の徳寿宮大火災以降、高宗の住まいとして使用されていました。1905年第二次日韓協約が締結され、大韓帝国が事実上、日本の保護国となった悲運の歴史の場でもあります。現在は内部に展示室を設けた博物館となっています。もともとは徳寿宮内にありましたが、日本の植民地時代に徳寿宮が分離縮小されてしまったため、離れた場所にあります。徳寿宮からはすぐ近くに位置するため、一緒に訪れるのもおすすめ。
出典 korean.visitkorea.or.kr/detail/ms_detail.do?cotid=063404ac-8425-4830-91ed-75f3608ab646
出典 korean.visitkorea.or.kr/detail/ms_detail.do?cotid=063404ac-8425-4830-91ed-75f3608ab646
出典 deoksugung.go.kr/c/introduction/4
宮中文化を伝えるお祭り
毎年5月に開かれる韓国内で最大規模の伝統文化祭り。徳寿宮、景福宮(キョンボックン)、昌徳宮(チャンドックン)、昌慶宮(チャンギョングン)、慶熙宮(キョンヒグン)のソウル五大古宮と宗廟(チョンミョ)、社稷壇(サジクダン)で開催されます。展示、演奏会、伝統儀式などここでしか体験できないさまざまなプログラムがあります。5月は子どもの日もあり、関連イベントも豊富なので、家族旅行にもおすすめ。
基本情報
・ 時期:毎年5月(年により変動あり)
・ 場所:ソウル五大古宮、宗廟、社稷壇
出典 deoksugung.go.kr/c/event/11
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知らなきゃ損!
訪問前に知っておくと便利
✓ 毎週月曜日は休み
✓ 満6歳以下、満65歳以上は入場無料
✓ 毎月最終水曜日は入場無料
✓ 韓服を着ていくと入場無料
✓ 入場券を購入しなくても交通カード支払いで入場OK